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メンデルスゾーン、ヴァールブルクと「経済的自由」

 

 

近代美術史学の祖

 アビ・ヴァールブルクの知名度は美術史の専門家以外の人々にとってはまだ高いとは言えないだろうが、「神は細部に宿る」という言葉は聞いたことがあるかも知れない。人文関係のエッセイなどで好んで引用されるこの箴言の出所は、ヴァールブルク自身によるとするものを含めて諸説あるが、この高名な美術史家が好んで用いたことによって人口に膾炙したと言っていいだろう。

 アビ・ヴァールブルクは、近代的な美術史学を改革した人物である。いわゆる美術史学は、『芸術家列伝』を著した16世紀の伝記作者で自身も画家であったジョルジョ・ヴァザーリに遡るとされ、ヴァールブルクの生きた19世紀末には既に300年の歴史があったが、当時はまだほとんど審美的・鑑定的な方法が中心であった。移ろいやすい美意識や目利きの主観的な判断に左右されがちであった19世紀の美術史学界に対して、ヴァールブルクは、芸術作品をあたかも書物のように見なして、神話・宗教・魔術・科学・哲学・詩などの今では失われた膨大な知識の復元作業を通じて、そこに込められたメッセージを読み解いていこうとする「イコノロジー(図像学、図像解釈学)」の方法を提唱した。イコノロジー以前の美術史では、作品の意味もよく分からないまま作家や様式の優劣が論じられていたと言ってもいいが、これを一気に飛躍させたのがヴァールブルクその人なのである。

 

 

美術史家と大作曲家

 また、本稿のもう一人の登場人物であるフェリックス・メンデルスゾーンは、言わずと知れた大作曲家であり、「ヴァイオリン協奏曲ニ短調」や「真夏の夜の夢」の結婚行進曲など、今日でも人気の高いレパートリーとなっている。また、当時既に忘れられかけていた大バッハ、ベートーベン、シューベルトなどの作品を復活演奏し、その再評価に力を尽くしたことで音楽の歴史に重要な貢献をした。

 ただ、1809年に生まれ1847年に没したメンデルスゾーンと、1866年に生まれ1929年に没したアビ・ヴァールブルクの人生は時間的にも重なることはなかった。メディチ家時代のイタリア・フィレンツェの美術を研究していたヴァールブルクと、前期ロマン派の作曲家・指揮者であったメンデルスゾーンでは、関心のある分野も異なっていたに違いない。だから、この二人を並べて論ずるなどということは、普通はしないだろう。

 しかし、この二人のもつ一見ささやかで、さほど重要とは思われない共通点には、決して無視できない重大な問題が秘められているように思われてならない。

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