資産家宅でのサロン

 

米国プレップ・スクールで学ぶことの意味

---中学・高校留学の予備知識---

 

 

 

プレップ・スクールとはどんなところか

 昔、「preparatory school = prep school」を「予備校」と訳してあるのを見たことがあるが、明らかに誤訳である。

 日本の予備校は、試験対策や受験技術を伝授するビジネスである。アメリカのプレップ・スクールはビジネスではなく歴とした教育機関であるだけではない。多くはキリスト教的な背景をもち、一流大学進学の準備を主な目的とするとはいうものの、授業内容もキャンパスの雰囲気も、ともに大学を先取りしているのに近い。かつてはギリシア・ローマの西洋古典を教育の中心に据えていた。

日本人には馴染みのない米国の名門プレップ・スクール、ボーディング・スクールとは一体どんなところなのか、具体的なイメージを掴みたいなら、まずは二つの映画を観るのが便利かも知れない。ロビン・ウィリアムズ主演の『いまを生きる(原題: Dead Poets Society)』とケビン・クライン主演の『卒業の朝(原題: The Emperor’s Club)』である。

『いまを生きる』(ピーター・ウィアー監督)は、1950年代の厳格な名門プレップ・スクールに赴任した新米英語教師が型破りな授業によって生徒たちを覚醒させるという物語である。一方、『卒業の朝』(マイケル・ホフマン監督)では、ローマ史を教える生真面目な古典教師が上院議員のどら息子に翻弄される。

ただし、いずれもやや古い時代のプレップ・スクールを舞台としているので、最近の事情を知りたければ『レイコ@チョート校』(岡崎玲子著)などが手軽に読める資料である。もっとも、この本では日米の違いばかりが際立っており、アメリカ内部での一般公立高校と名門私立校のギャップを知りたい場合は肩すかしを食うかも知れない。素朴な体験記として価値大だとは言えるが、「こんなことなら公立のハイスクールでもやっている」と思える内容が多いのだ。

 

プレップ・スクールで学ぶ意味

だが、その授業や学校行事の内容もさることながら、アメリカの名門プレップ・スクール、ボーディング・スクールに学ぶ最大の利点は、おそらく別のところにあるのではないか。

それは、選りすぐりのエリート同士が結ぶ「濃密な人間関係」である。その効果は、在学中よりもむしろ卒業後の進路に表れるだろう。進路といっても単なる大学進学の話ではない。大学・大学院卒業後の人生までも含めた進路のことである。

アイビー・リーグなど、資産運用に長けた有名私立大学が優秀な学生のために多額の奨学金を支給してくれる今日では、勉学に励んで一流大学に行くだけなら公立高校からも十分に可能であろう。しかしながら、名門プレップ・スクールにあって公立高校にはないものがある。それは、生徒の多くがアメリカを代表するエリートの家系をバックグラウンドとして持つということ、そしてそのような人々が寮生活などを通して多感な十代を共に過ごすことにより築き上げられる密度の濃い人間関係であろう。そして、これこそが、卒業生の人生を成功に導く鍵となっているのだ。

 

 

プレップ・スクールとファミリー・コネクション

では、実際にどのような人々が名門プレップ・スクール、ボーディング・スクールに通い、その後どんな分野で活躍しているのだろうか。政界、官界、産業界を中心に、日本でも知られている著名人をまとめてみた。

 

フィリップス・アカデミー・アンドーバー校の卒業生人脈 (新島襄の母校)

チョート・ローズマリー・ホールの卒業生人脈

グロトン・スクールの卒業生人脈

ヒル・スクールの卒業生人脈

ホッチキス・スクールの卒業生人脈について

ローレンスビル・スクールの卒業生人脈

ルーミス・チェイフィー・スクールの卒業生人脈

セント・ポールズ・スクールの卒業生人脈 (成蹊高等学校との交換留学制度あり)

タフト・スクールの卒業生人脈

 

全米でプレップ・スクールとされる学校は約300ある。ここで例として挙げた数校は、うち最も有名な「テン・スクール(10 Schools)」と呼ばれるグループに属している。しかし、このような比較的小規模の学校だけを見ても、アメリカの政界、官界、ビジネス界を代表する大物を続々と輩出していることに驚かされる。

そして、それらの指導的な地位に就いている人々が「ファミリー」というものに支えられていることを見せ付けられる思いがする。

プレップ・スクール時代に築かれる濃密な友情の背景には、ファミリー相互の関係が見え隠れする。それというのも、子弟をプレップ・スクールからアイビー・リーグへと送り出せる家系は自ずと限られており、プレッピーの親はやはりプレッピーであるという傾向が普通に見られるからだ。

だとすれば、アメリカの政界、官界、ビジネス界の指導層の少なくとも一部がごく少数のファミリーで固められているのも当然だろう。ロックフェラー家、ケネディ家、ブッシュ家などはその典型である。

 

ノブレス・オブリージュを涵養する

忘れてはならないのは、そのような世襲的な大富豪の一族に属しているとしても、世俗的な高い地位や華やかさ、あるいは高給とは無縁の地味な仕事に就き、献身的に働いている人たちもまた多いということである。そのような人々の名が、著名人一覧に表れることはない。けれども例えば、ロックフェラー家とも縁の深いネルソン・アルドリッチ・ジュニアは小学校の教員でジャーナリストだった。彼は、「君のような金持ちのエリートが何でこんな仕事をしているのか」と怪訝に思われたという。

なるほど経済的な必要性はなくとも、「人の役に立つ仕事をしたい」という欲求は、庶民感覚では理解し難いものかも知れない。しかし、これもまた、富裕なファミリーから受け継がれたものである。

富豪の子弟の集うプレップ・スクールは、そのような「ノブレス・オブリージュ(高貴な者の負う義務)」の精神を涵養する場でもあるのだ。

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